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法律・交渉

養育費の間接強制

○間接強制とは
 離婚時に養育費の取り決めを行い、公正証書、調停調書、審判書、判決書、和解調書といった債務名義があるにもかかわらず、養育費を支払う側からの支払いが滞った場合、受け取る側は裁判所に対して、「間接強制」を申し立てることができます(民事執行法172条 間接強制)。裁判所はこれを認めた場合、養育費を支払う側(債務者)に対して、一定の期間内に支払わなければ、債務とは別に間接強制金の支払いを命じることができます。強制金を科すことで、債務者に自発的な支払いをさせることを目的としています。申し立てを行う申立先は、債務名義の執行文を付与した裁判所、または債務名義を作成した裁判所です。

 間接強制金は、たとえば「養育費の支払いが、支払期日から1日遅れるごとに○○円」などといった形で、支払いを命じられることになります。平成16年の民事執行法改正によって、養育費についても、直接強制とは別に利用できるようになりました。

 間接強制は、直接強制とは異なり、債務者の勤務先などの情報が分からない場合でも申し立てることができます。そのため、直接強制による給料の差し押さえなどを実行する際の前段階として、債務者にある程度考える余地を与え、両者のあいだでできるだけ争いが生じない方法で養育費を回収するといった意味で実行するケースもあります。

 また、間接強制は、直接強制とは異なり、給料の差し押さえなどによる強制的な支払いを実行することはできないため、債務者が自発的に支払いを履行しない場合は、それとは別に、あらためて直接強制の申し立てを行うことが必要となります。

 さらに、債務者に支払い能力がなく、支払うことができない場合や、債務を支払ったことによって生活が極端に苦しくなる場合は、裁判所が間接強制の決定を出さないこともあります(民事執行法167条の15の1項 扶養義務等に係る金銭債権についての間接強制)。

 養育費を受け取る側(債権者)が間接強制の申し立てを行うには、直接強制の場合と同様に、養育費の取り決めを行った文書(債務名義)を作成した家庭裁判所または公証役場から、公正証書、調停調書、審判書、判決書、和解調書などを債務者に対して送達し、債務の存在を認識させておく必要があるため、送達がなされていることを証明する「送達証明書」の提出が必要となります。

○差し押さえできない財産
 間接強制を行っても相手が養育費を支払わない場合、直接強制の申し立てを行い、財産の差し押さえをすることになります。なお、民事執行法では、以下の財産については、差し押さえをすることが禁止されています。

民事執行法131条 差押禁止動産
・債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
・債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料
・標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭
・主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
・主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
・技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
・実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
・仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物
・債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類
・債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物
・債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具
・発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの
・債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
・建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品

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